個人事業開業の手続き

事業届のメリット

事業用口座開設

個人事業者口座が開設できます。口座名に屋号が含まれるため、事業の存在、ひいては信用に作用します。

経費

大きな金額でなければ経費として処理が認められます。毎月のネット料金、ITサービス料、事業に利用している実態があれば携帯料金も経費として計上できます。
経費について不安な面があるときは税理士にご相談ください。

青色/白色申告による控除

青色申告は65万円、白色申告は10万円の特別控除を受けることができます。これらの控除は事業所得、山林所得、不動産所得がある方のみです。
青色申告には複式簿記による書類提出が必要となりますが、最近のクラウド会計ソフトは基本機能として利用できるので、心配しなくても大丈夫です。

青色申告は電子申告(ネット申告)の場合65万円、紙による提出は55万円の控除となります。電子申告にはマイナンバーカード(個人番号通知カードは不可)とICカードリーダーが必要です。また、電子申告手続きには各暗証番号が必要となるのでマイナンバーカード発行時の暗証番号は大事にしまっておきましょう。

事業届ではどこに提出にする?

開業届けは正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。提出先は所轄の税務署になります。「所轄ってどこ?」となりますが、ご自宅の住所、もしくは事業所の住所で該当する税務署をご確認ください。

国税庁:税務署の所在地などを知りたい方
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

どうやって提出するの?

書類を所轄の税務署に持参、もしくは郵送で提出します。e-tax環境をお持ちの方は電子申請も可能です。持参の場合、税務署に出向く手間はありますが、記入ミスがあった場合はその場で訂正(書き直しですが)が可能です。
郵送の場合は訂正ができないので、不受理・再提出となってしまうので、一回で済ませたい場合は税務署に出向くことをお勧めします。(コロナ禍は、郵送でも仕方ないですね)

税務署に行く場合

持参するものとして、印鑑(認印)、身分証明できるもの(運転免許証など)。マイナンバーカードも持参したほうが無難です。

個人事業の開業届出書の書き方

フォーマットは何処にあるの?

国税庁からダウンロード、印刷して利用します。

国税庁:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

個別の記載内容・注意点

職業欄について

総務省が出している日本標準職業分類を参考にして書きましょう。

総務省:日本標準職業分類
https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/shokgyou/kou_h21.htm

屋号について

屋号の欄にあなたのビジネス名を記載します。私の場合は「EmbedeedPropertyLaboratory」です。

届け出の区分

ほとんどの方は「開業」に〇を付けます。再開する場合も開業で大丈夫です。

開業日について

開業届けは開業日から1カ月以内と定められています。提出日(郵送到着日)を鑑みて無理のない開業日にしましょう。せっかくだから良い日取りを選びたいですね。ちなみに私は「元旦開業」で届けています!

開業・廃業に伴う届け出書の提出

青色申告の書類は同時提出したいので「有」。消費税は届け出は「無」を選択してください。有は、消費税の免税事業者が課税事業者になる場合に提出するものです。つまり、多くの方は消費税課税事業者になります。

事業の概要

ご自身の事業内容を記載ください。

源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

「無」に〇を付けます。

解説のない項目について

特に記載は不要です。

提出後の注意

手元の控えには受領印を

開業届けの控えは、個人事業用口座を開設する際、または個人事業主であることを証明するための書類として利用します。つまり、税務署の受領印がないと証明としての効果がなくなるので必ず控えに受領印があるか確認しましょう。

同時に青色申告承認申請書を提出しよう

冒頭にも書きましたが青色申告を採用すると事業所得から65万円の控除が受けられるようにないります。これは大きな節税効果を持つので、事業届と一緒に提出しましょう。
また、青色申告を採用すると赤字の繰り越しや繰り戻しなども処理できるようになります。
提出方法は複式簿記を選択します。備付帳簿名は不要です。損益計算書(PLシート)、貸借対照表(BSシート)は会計ソフトが作ってくれるので大丈夫です。

国税庁:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm

所得税の青色申告承認申請書の書き方

要点のみかいつまんで説明します。

冒頭箇所

所轄の税務署

ご自宅、または事業所の住所から所轄の税務署長あてとします。

職業・屋号

開業届けと同じ内容を記入します。

中盤

1.事業所の名称

名称は屋号と同じ、住所の事業実態のある住所(自宅、サロン、事業所)を記入します。2行目以降は複数の事業所、資産がある場合のみ記入します。

2.所得の種類

事業所得に〇をつけます。

3.いままでに青色申告承認の取り消し

新規の方は「無」に〇をつけます。取り消し申請したことがある方は「有」に〇をつけ、いつ取り消し申請したか記入します。

4.本年1月△日以降に

実態があれば日付を記入します。

5.相続による

「無」に〇をつけます。

6.簿記方式

複式簿記に〇をつけます。備付帳簿名は任意でいいですが「仕訳帳、預金出納帳」くらいでしょうか。私は備付帳簿名を提出したことがありません。

開業後の流れ

帳簿をつけるために

まずは会計ソフトを購入、またはクラウド会計ソフトと契約しましょう。パソコンにインストールするなら弥生会計がおすすめです。
クラウド会計ソフトを利用するなら

クラウド会計ソフト「マネーフォワード」 弥生会計 オンライン 会計ソフトfreeeの個人事業主向け

 

などありますが、お好みですね。

私はMFクラウド(マネーフォワードクラウド)を利用しています。

銀行口座開設

個人事業口座(以降、ビジネス口座)に対応している銀行はネットバンクが主流です。

ジャパンネット銀行

楽天銀行

上記2ネットバンクがビジネス口座に対応しています。

ジャパンネット銀行はビジネス口座のみの開設が可能です。楽天銀行は一般口座を作成する必要があります。一般口座にログインした状態でビジネス口座に申し込む必要があるからです。

ジャパンネット銀行はYahoo系、楽天銀行は楽天系ですが、どちらもビジネス口座ということがあり、ポイントは利用できません(一般口座はサービス連携することにより、各ポイントの恩恵が受けられます)。

必要な書類

ビジネス口座開設には先に提出した「確認印のある開業届けの控え」(開業している事実確認)が必要なります。法人と異なり、個人の場合は登記簿謄本はありませんので、開業届けの控えが唯一の証明となります。

スマホやデジカメで控えの写真を撮って提出しましょう。

審査後は

開設後は、いよいよビジネス口座を利用した取引が可能になります。

クラウド会計ソフトはネットバンクの自動明細取り込みができるので、通常通り入出金・振込していただいて大丈夫です。

個人の確定申告は年明け早々に始まるので多くの方は12月で決算(締め)になると思います。仕分け処理はためると大変なので毎月処理するように心がけましょう。