PHPの脆弱性「PHP2shell」について、ホームページを持つ個人事業主が確かめたいこと
この記事は、2026年11月5日時点で公開されている公式情報をもとにまとめています。内容は更新されることがあるため、最新の情報は末尾の公式ページでご確認ください。
何が起きたか
- 2026年10月21日、PHPの開発元であるThe PHP Groupが、PHPの複数の脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)に関するアドバイザリを公表し、修正版を公開しました。
- IPA(情報処理推進機構)によると、これらの脆弱性を悪用された場合、遠隔の第三者によって任意のコードが実行される可能性があります。この二つの組み合わせは「PHP2shell」と呼ばれています。
- 10月22日に、IPAとJPCERT/CCがそれぞれ注意喚起を公開しました。国家サイバー統括室の注意・警戒情報アカウント(@cyber_forecast)も、これらの注意喚起を案内しています。
- IPAの10月27日の更新では、米国CISAが公開している「悪用が確認された脆弱性の一覧(KEVカタログ)」に10月26日(現地時間)に掲載されたことが追記されました。同じ更新で、IPAは国内での攻撃被害の事例は把握していないとしています。
関係するのはどんな人か
IPAは、PHPがさまざまなウェブアプリケーションやソフトウェア製品で使われていると説明しています。WordPressの公式サイトでも、WordPressを動かすサーバーの要件としてPHPが挙げられています。
個人事業主の方の身近なところでは、たとえば次のような場合が考えられます(以下は説明のための架空の例です)。
- WordPressで、お店や教室のホームページを運営している
- AIツールに書いてもらった問い合わせフォームのPHPファイルを、レンタルサーバーに置いている
- 予約や申し込みのページを、知人や制作会社に作ってもらい、そのまま使っている
また、JPCERT/CCは、PHPを組み込んだ製品や、Linuxディストリビューションが提供するPHPも影響を受ける可能性があるとしています。IPAの11月2日の更新でも、VPN機器などのウェブ管理画面にPHPが使われていることがあるとして、製品の開発元が出す情報を確認するよう案内しています。
確かめること
1. サーバーのPHPのバージョン
ご自身のサイトが動いているサーバーの管理画面や、サーバー会社からのお知らせで、PHPのバージョンを確かめます。IPAとJPCERT/CCが示している修正済みのバージョンは次のとおりです。
| 系列 | 修正済みのバージョン |
|---|---|
| 8.2系 | 8.2.35 |
| 8.3系 | 8.3.36 |
| 8.4系 | 8.4.27 |
| 8.5系 | 8.5.12 |
2. 8.1以前を使っていないか
IPAによると、PHP 8.1以前はサポートが終了しており、今回の脆弱性の修正版は提供されません。この場合は、サポートが続いているPHPへの更新や、対策済みのサービスへの移行を検討するよう案内されています。なお、JPCERT/CCによると、開発元は8.1、8.0、7.4向けに最小限の緩和策を出しています。
3. 自分で管理していない部分
サーバー会社がPHPを管理している場合や、サイトの制作を人に任せている場合は、IPAの案内どおり、提供元や制作者が出している情報を確認します。分からないときは、「PHP2shell(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)への対応状況」を問い合わせると話が伝わりやすくなります。
4. 更新したあとの動作
IPAは、長く更新していないシステムでは、更新に伴ってアプリケーションの手直しや動作確認が必要になる場合があるとしています。PHPのバージョンを上げたあとは、問い合わせフォームの送信や予約ページの表示など、普段お客様が使う画面を一通り試しておくと、気づきやすくなります。
PHPだけの話ではありません(JavaScriptと関連する部品)
今回はPHPの弱点が話題になりましたが、PHPだけが特別に危ないわけではありません。ホームページは、いくつものプログラムや部品を組み合わせて作られています。どの部品にも弱点が見つかることがあり、開発元はそのたびに直した版を出しています。
よく使われるものの一つが「JavaScript」です。JavaScriptは、ホームページのボタンやメニューを動かしたり、画面の表示を切り替えたりするためのプログラムの言語です。JavaScriptで作られた、よく使われる部品のまとまりは「ライブラリ」や「フレームワーク」(ホームページを組み立てるための土台)と呼ばれます。代表的なものに次があります。
- Node.js(ノードジェイエス):JavaScriptをホームページの裏側のコンピューターで動かすための仕組みです。開発元は、弱点を直すための更新(セキュリティリリース)を定期的に出しています。また、版ごとに保守の期限があり、期限を過ぎた古い版には修正が出ません。
- Vue.js(ビュージェイエス):ホームページの画面を作るための土台です。公式の説明では、Vueと公式の関連部品は常に最新版を使うよう勧めています。
- Next.js(ネクストジェイエス):ホームページ全体を組み立てるための土台です。開発元は、見つかった弱点とその直し方を公式のページで公表しています。
- Nuxt(ナクスト、Nuxt.jsとも呼ばれます):Vue.jsを使ってホームページ全体を組み立てるための土台です。こちらも開発元が、見つかった弱点を公式のページで公表しています。
自社のホームページでこうした部品が使われているかどうかは、見た目だけではわかりません。制作会社やIT担当に、PHPとあわせて次のように問い合わせると確認しやすくなります。
「当社のホームページで使っているPHP、JavaScriptの部品(Node.js、Vue.js、Next.js、Nuxt など)の名前とバージョンを教えてください。それぞれ開発元が保守している版か、最新の修正が当たっているかもあわせて教えてください。今後の更新をどのくらいの間隔で行う予定かも伺えますか。」
困ったときの相談先
経済産業省と中小企業庁は、中小企業・小規模事業者向けに「サイバーセキュリティ特別相談窓口」(無料)を、地域のよろず支援拠点に設けています。窓口の一覧は、末尾の案内ページから開けます。IPAも「情報セキュリティ安心相談窓口」を設けています。
E.P.ラボのメモ
AIツールで作ったフォームや小さな仕組みも、動いているのはサーバーの上です。作った日に動作を確かめるのと同じように、土台になっているサーバーやPHP、JavaScriptの部品の更新も、ときどき確かめる手順に入れておくと落ち着いて対応できます。点検表に「サーバーのPHPのバージョン」と「使っている部品と、その版」を一行ずつ足しておくのも、一つの方法です。
出典(公式情報)
- IPA「PHPの脆弱性対策について(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619:PHP2shell)」(2026年10月22日公開、11月2日更新) https://www.ipa.go.jp/security/security-alert/2026/alert20261022.html
- JPCERT/CC「PHPにおける複数の脆弱性(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)に関する注意喚起」(2026年10月22日公開、10月29日更新) https://www.jpcert.or.jp/at/2026/at260033.html
- The PHP Group「Security advisory: Critical remote code execution vulnerabilities, update now」(2026年10月21日) https://www.php.net/archive/2026.php#2026-10-21-5
- 経済産業省・中小企業庁「サイバーセキュリティ特別相談窓口」を設置します https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/34086/
- IPA「情報セキュリティ安心相談窓口」 https://www.ipa.go.jp/security/anshin/index.html
- 国家サイバー統括室(注意・警戒情報)公式X @cyber_forecast の案内(2026年10月22日) https://x.com/cyber_forecast/status/2113158056934871216
- WordPress「必須要件」 https://ja.wordpress.org/about/requirements/
- Node.js「Security Releases」(公式 セキュリティ情報) https://nodejs.org/en/blog/vulnerability
- Node.js「Node.js Releases」(公式 版ごとの保守期限) https://nodejs.org/en/about/previous-releases
- Vue.js「Security」(公式) https://vuejs.org/guide/best-practices/security
- Next.js(公式 セキュリティ情報) https://github.com/vercel/next.js/security/advisories
- Nuxt(公式 セキュリティ情報) https://github.com/nuxt/nuxt/security/advisories